『プロノイア』
羊が一匹、羊が二匹、、、
澄み渡る空に 切り裂くような笛の音
聞くが早いか走り出す
鮮やかに 完璧に
ぼくはシープドッグ 羊飼いの犬
今日も主人はぼくにたくさんのキスを浴びせて
オレンジ色の牧場 肩揺らし遠ざかっていく背中
羊が一匹、羊が二匹、、、
吠え立てるぼく 逃げ惑う羊たち
柵をピョンピョン飛び越えてった
途方に暮れるシープドッグ 広い牧場の真ん中
渦を巻いた黒い雲
夢のなか切り裂くような音で 羊たちの悲鳴だとわかった
飛び起きるやいなや走り出す
血を流す羊と 狼が二匹
鋭い歯が闇に浮かんで 思わず足がすくんだ
羊が一匹、羊が二匹、、、
後ろ脚を思い切り蹴り出して
こちらに気付いた狼の喉笛目掛けて
飛びかかった
肉を裂く感触があり
大きな唸り声を聞いて
弧を描きながら落ちた 騒ぐ羊の群れのなか
隙間に走り去る狼の背中ふたつ
羊は、、、
群れを分け出で駆け寄った
覗き込んだ目には怯える光も湛えておらず
瞬間乾いた音が耳を切り裂いて
身を横たえたシープドッグ 羊の上
ゴワゴワする毛の感触と 重なり合う赤色と
ひどく慌てたように駆けてくる足音の懐かしい
叫ぶ声が ぼくの名前を呼んで
フカフカなベッドの上
毛布もとってもあったかい
羊が一匹、羊が二匹、、、